美弥るりかさんの退団について思う事
残念、という言葉だけでは表せない気持ちがある。
退団発表を見た瞬間、真っ先に思い浮かんだのは美弥るりかさんがご贔屓の友人だった。彼女より先に公式ホームページで事を把握したけれど、私から彼女にこの事を伝えるのは違うなと思い彼女のTwitterが動くのを待った。
程なくして彼女が悲しみのツイートをした直後に連絡を取り、私は仕事の日だったので退社後ファミレスで待ち合わせた。
彼女に会った時は思ったよりも元気そうに見えたけれど、完全に見かけだけだった。平日の夜の田舎のファミレス。ほとんどお客さんもおらず、2人でひたすらこの悲しみを分かち合い一日が過ぎた。
嘘でしょ、という気持ち、あぁそうなのか、という気持ち。友人が会った直後に「夢かなって思って」とぽつりと呟いた。
「一作だけでもいいからトップになって欲しかった」
「それでも彼女が決めたことだから」
「沢山の人に惜しまれてて良かった」
そうだね、分かるよ、と話を聞きながら、やりきれない思いだけが残る。
私はここ最近のファンなので、10年前の雪組の件についてはそういった事もあったという事実しか知らない。それでも話には聞いていた二番手切り。まさか自分がリアルタイムで体験するなんて。
私の贔屓は七海ひろきさんなのでこの3月に退団されてしまう。けれど七海さんに対しての私個人の感情としては、寂しいけれど仕方がないよねと概ね納得だった。惜しむ事はあれど何かに不信感を抱くような事もなかった。
だけどそれとは状況か違う。ここにきて、今の月組で二番手退団。組子もファンも、どうしても悲しみが残る。どうしてこのタイミングだったんだろう。どうして…。
じゃあいつなら良かったの?今の状況下においてどの組でトップになってもらいたかったの?と聞かれてしまうと、それはそれで言葉に詰まってしまうけれど、それでも私は美弥さんがトップになるだろうと思っていた。二番手という立ち位置は絶対的なものではないと分かっていたのに。ここまできたんだから報われて欲しい、きっと報われるとそう思っていた……。
トップになるタイミング、というものはあると思う。けれどタイミングが悪かったという言葉で片付けたくはない。やろうと思えば今の体制になってからも上げる機会だってあった筈だった。
「今の月組が大好きだった」
「けれど彼女が退団した後、これからも見れるかは分からない」
彼女の言葉にそうだよね、としか返せなかった。
私は七海さんが退団しても宝塚を好きでいると思うし、なんならこれからは星組に限らず全組見ようかな、くらいに思っている。けれども彼女がどうするかは分からない。
私と彼女は同時期に宝塚にハマった。私は七海さん。彼女は美弥さんに落ちた。一緒に舞台も観に行った。完全に宝塚初心者な私にとって彼女の存在は心強かったし、きっと彼女にとってもそうだったと思う。まさかお互いに同じようなタイミングで贔屓が退団することになるなんて思わなかったけど。
彼女が万が一、この先宝塚から少し距離を置くとしたらそれはとても寂しい。でもそれを私が止める事はできないなと思う。
私がどんなに「分かるよ」と言っても、それは七海さんのファンの私の言葉だから。彼女の気持ちは美弥さんのファンの方にしか分からないだろうから。
ファミレスのドリンクバーを飲みながら、私はエルベにおける七海さんの素晴らしさについて話した。彼女はアンカレの美弥さんが本当に最高だったと話した。
時折楽しかった過去の公演に思いを馳せたり、美弥さんのサヨナラショーの内容を妄想したり、今後の体制について考えたり、退団後のお仕事について話したり…。さながらお葬式の空気だったけれど、数少ない他のお客さんに誕生日の方がいらっしゃったようで突如爆音でハッピーバースデーの曲がファミレスに流れて少し笑顔になった。その直後に海ちゃんの部分休演をニュースで知って更に2人揃って落ち込んだ。追い討ちである。
去る人も、残される人もどちらも辛い。そしてファンの悲しみも計り知れない。
受け入れるには時間が必要だと思うし、無理に焦らなくていいよと思う。退団の日は6月9日。今からできる事は沢山ある。大事な友人である彼女にとって悔いがない応援ができるといいなと思ってる。
私個人としては今回の一件、めちゃくちゃ思うところがある。というか、大体のヅカオタさんは今回の事で思う事があると思う。
それでも私の場合、美弥さんがご贔屓の友人が耐えているのに私がそこを愚痴ってどうする、と思うので詳しくは言いません。
ただこの先、ある程度の学年の微妙路線の生徒さんがもっと上級生になった時、同じような事が起きなければいいなと思ったし、そうなる前に嫌になって辞めたりしないでほしいなと思ってしまう。結局はいいように使われて切られるから…なんて思わせないでほしい。
夢を見たくて宝塚を観ているんです。
どうかずっと、夢を見させてほしい。そう願って止みません。